アマゾンで頼んでいた同展の図録が届きました.
予想通り,なかなか面白い和洋の天文関係資料が展示されるようで,稀覯書を除けば私が「こんな展示をやってみたい」と思うところを衝いています.
和(東洋)では,まず「星曼荼羅」4点,鎌倉時代の円形も南北朝の方形も含まれています.江戸時代とされる方形のものでは蟹と牡牛が入れ替わっていますが,誤写で伝承されたものでしょう,ときどき見かけますね.展示替えされるので,全部見るのには4回行かなければなりません.そのほかも展示替えが多いので「作品の展示替えについて」で確認していかないと後悔します.また,須弥山図は「世界大相図」のみですが,からくり儀衛門の「須弥山儀」が出品されます.龍谷大学の所蔵品が多いですね.
次に天球図ですが,中国の「淳祐(蘇州)天文図」(拓本)と渋川春海の「天文分野之図」「天文成象」,司馬江漢の天球図(これは持っていない)は定番といったところです.
ほかには,五島プラネタリウム旧蔵品でしょうか,18世紀清朝の銅製天球儀(重いのでしょうか?),和製渾天儀もあり,これに国友一貫斎の反射望遠鏡などが加わります.
西洋では,天球図は主に千葉市立郷土博物館所蔵のセラリウス「ハルモニア・マクロコスミア」の第二板から3葉などで,天球儀はやはり同館所蔵のドッペルマイヤーによるものでした.同館のコレクションではアピアヌスの「天文学教科書」が最も稀覯でこれに天球図があるし、ほかに17-19世紀の有名な星座図集も所蔵されているので,それらも一緒に展示していただけるとよかったのですが....そういえば,デューラーの天球図は以前西美の展覧会でドレスデン美術館の所蔵品が展示されていましたね.
天文機器では16-17世紀の渾天儀2種,アストロラーベやリング・サンダイヤルなどは,日本では見る機会が少ないでしょう.ほかには,19世紀のアダムスの反射望遠鏡などもあります.
むしろレオナルドのアトランティコ手稿が目玉なのですが,16~17世紀の天文学の稀覯書の初版本も多く,ガリレオの「星界の報告」初版刊本やその改訂版の手稿,コペルニクスの「天球の回転について」,ケプラーの「新天文学」,ニュートンの「プリンキピア」などが展示されています.
そうそう,この展覧会は4部構成ですが,ここまでご紹介したのは第一部だけです.このほかに近現代の展示物がたくさんあるようですが,守備範囲外なので会場でご覧ください.